Say You, Say Me / Lionel Richie

セイ・ユー・セイ・ミー / ライオネル・リッチー


 こんにちは、Ellieです。2021年3月9日。札幌のソウルバーMAYBEの充さんが亡くなってから1年半、18回目の月命日となりました。相変わらず全く実感がありません。困ったものです。

 

 今回解説する曲はLionel Richie(ライオネル・リッチー)の "Say You, Say Me(セイ・ユー・セイ・ミー)" です。これは生前充さんが「めちゃくちゃカッコいいからおすすめ!」と語っていた映画『ホワイトナイツ/白夜』の主題歌です。音楽に関しては充さんの好みをこんな風にすすめられた記憶はなかったので、(すすめられたのは映画だったとは言え)珍しいことだったと強く印象に残っています。実際観てみたらダンスが本当にめちゃくちゃカッコイイ作品で痺れました。

 

 ちなみにこの動画がダンスの一番の見せ場です。

 

 

 "Say You, Say Me" も以前から耳にしてはいたものの、映画の内容を知ってからは聴こえ方も感じ方も変わりました。

 

 そもそもメインのフレーズでありタイトルでもある "Say You, Say Me" は訳し方に悩むフレーズです。最初はこれをどう解釈して良いのか分からず、 "Say (it to) you, say (it to) me(君に言おう、僕に言って)"のように省略があるのかな、とか、"You say, I say(君が言う、僕が言う)" が本来の形なのかな、などと悩みました。しかし映画の内容と照らし合わせて考えると、これは省略でも変型でもなく、このフレーズの通りの言葉だという結論に辿り着きました。

 

 ただしこのフレーズには付け加えるべきものがあって、それはクオーテーションマーク(" ")です。すなわちこのフレーズの本来あるべき姿は、 Say "You" Say "Me" で、意味は「"君"と言おう、"僕"と言おう」となります。

 

 これを説明するために少しだけ映画ホワイトナイツの話をすると、これは自由を求めてアメリカに亡命したロシア(ソビエト)人ダンサーとベトナム戦争から逃げてロシア(ソ連)に亡命したアメリカ人ダンサーがロシア(ソ連)で出会う物語です。二人は最初は反発しあいますが共に時間を過ごす中で友情を深めて行きます。この映画では全編を通して、「どんな環境であれ人は人生のさまざまな物事を共有できる、深く繋がりあえる誰かを求めるものである」ということが語られています。そして “Say You, Say Me” にもまた、同じメッセージが込められています。

 

 「君」や「僕(私)」という言葉は、言葉を交わす相手がいてこそ使える言葉です。つまり "Say You, Say Me(君と言おう、僕と言おう)" とは、「"君"や"僕"と言い合える相手を持つことの大切さ」を語っているフレーズなのです。 

 

 日本語では英語ほど "you" のような代名詞を使うことはないので少し感覚は異なるかもしれませんが、いつも自分の話ができて名前を呼べる誰かがいるというのは大切なことですね。

 

 ねえ、充さん。もっと充さんの名前を呼びたかった。「充さーん。おかわりくださーい。(ソフトドリンク)」って、もっと言いたかった。充さんは私を含めて本当に沢山の人の大切な "You" だったんだよ。一年半経ってもやっぱり寂しいなぁ。

 

 

Say You, Say Me / Lionel Richie


Say you, say me

「君」と言おう、「僕」と言おう

動詞(say)が先頭の文は「命令文」

学校では「○○しなさい」

“Please” が付くと「〇〇してください」と習いますが、

そもそも「命令文」という呼び方が威圧的すぎない?とよく思います。

「指示文」の方がイメージに近いよなぁと。

Say it for always, that's the way it should be

いつまでもそう言おう、そうあるべきだから

"always"は「常に、いつも」ですが、

"for always"は「永久に、いつまでも」という意味になります。

Say you, say me

「君」と言おう、「僕」と言おう

Say it together, naturally

一緒に言おう、当たり前に

“together” は「一緒に」ですが、

ここは「君と僕で一緒に言おう」と

「キミという言葉とボクという言葉は一緒に(セットで)使おう(言おう)」

の両方の意味が込められていると思います。

 

I had a dream, I had an awesome dream

夢を見た、素晴らしい夢を見たんだ

People in the park playing games in the dark

人々が暗闇の中公園でゲームをしていた

And what they played was a masquerade

彼らがしていたのは仮面舞踏会で

And from behind of walls of doubt a voice was crying out

疑念の壁の向こうから叫び声が聞こえた

“walls of doubt(疑念の壁)”は

冷戦時代に国民の自由を徹底的に制限していたのソビエト連邦(ロシア)の比喩

 

Say you, say me

「君」と言おう、「僕」と言おう

Say it for always, that's the way it should be

いつまでもそう言おう、そうあるべきだから

Say you, say me

「君」と言おう、「僕」と言おう

Say it together, naturally

一緒に言おう、当たり前に

 

As we go down life's lonesome highway

人生の孤独なハイウェイを行く時

Seems the hardest thing to do is to find a friend or two

一番難しいのは一人か二人、友人を見つけることらしい

ここは主語である “it” が省略されています。

正確には “It seems the...”

“seem” は「~のように見える」という動詞で、

直訳は「一番難しいのは一人か二人、友人を見つけることのように見える」

A helping hand - someone who understands

救いの手であり、理解してくれる誰か

That when you feel you've lost your way

You've got someone there to say

I'll show you

君が道を見失ったと感じた時に

「こっちだよ」と言ってくれる誰かがいること

この “I’ll show you” は「誰か」の言葉なので、

ここも本来はクオーテーションマーク(" ")が付きます。

 

Say you, say me

「君」と言おう、「僕」と言おう

Say it for always, that's the way it should be

いつまでもそう言おう、そうあるべきだから

Say you, say me

「君」と言おう、「僕」と言おう

Say it together, naturally

一緒に言おう、当たり前に

 

So you think you know the answers - oh no

君は答えを知っていると思っている

(いやそんなことはない)

Because the whole world has got you dancing, that's right

全世界が君を躍らせているからね

(その通りさ)

I'm telling you

僕が言おう

It's time to start believing - oh yes

今こそ信じる時だ(そうさ)

Believing who you are - you are a shining star

君が君自身を信じる時

君は輝くスターだ

 

Say you, say me

「君」と言おう、「僕」と言おう

Say it for always, that's the way it should be

いつまでもそう言おう、そうあるべきだから

Say you, say me

「君」と言おう、「僕」と言おう

Say it together, naturally

一緒に言おう、当たり前に

 

 

コメント: 3
  • #3

    xyz (木曜日, 17 2月 2022 13:41)

    NHKラジオの武内陶子の午後カフェに出ました。久々に聴きました。80~90年代スローバラードの名曲ですね。(笑)

  • #2

    Ellie (火曜日, 03 8月 2021 17:36)

    岩田さま

    コメントありがとうございます。

    MAYBEは記事の通り、故・岩森充氏がやっていた札幌のソウルバーです。残念ながら今はもうありません。

    私はこのサイトでMAYBEの想い出に浸りながらソウルミュージックと歌詞を紹介している、ただの英語好きなソウルファンです。

    またご訪問いただけたら嬉しいです。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

    Ellie

  • #1

    岩田剛 (火曜日, 03 8月 2021 02:20)

    素晴らしい曲ですね。札幌のソウルバーですか?いや、素晴らしい。