ビトゥイーン・ザ・シーツ / アイズレー・ブラザーズ
こんにちは、Ellieです。2019年12月9日。札幌のソウルバーMAYBEの充さんが亡くなってから3回目の月命日。昨日の12月8日には、同じく札幌のソウルバーのJim Crowさん主催で充さんの追悼イベントが開催されたとのこと。いーいーなー、私も行きたかったなーとFacebookの告知を見て悔しがると同時に、早く札幌に引っ越せるように頑張ろうと決意を新たにしたところです。
さて、明日は私と主人の6回目の結婚記念日です。今回は6年前の想い出話とともに、想い出の一曲をご紹介します。
32才差という年齢差とそれぞれの実家がかなり離れていたこともあり、私たち夫婦は結婚式も披露宴もしませんでした。その代わりに主人の実家への挨拶と新婚旅行を兼ねた札幌旅行で、近しい友人だけを呼んでMAYBEの2階で指輪交換とささやかなパーティーをしました。
充さんが仕切ってくれた指輪交換、大好きな人たちからの祝福、パーティーの間中曲をかけ続けてくれた芳川さん...何もかもが特別で素敵な夜でした。もうあの空間が無くなってしまったなんて今でも実感がわかないし、信じたくありません。
そんな明るいお祝いムードな"Just Married(結婚しました♪)"な夜に、アイズレーびいきの芳川さんが嬉々としてかけてくれたのが、"Between the Sheets"でした。第一印象は「新婚の結婚パーティーでかける曲じゃないでしょ...苦笑」でしたけれど、まあらしいと言えばすごくらしいですし、祝ってくれている気持ちはしっかり伝わってきたので、色々な意味であの夜のハイライトとして記憶に残っている一曲です。
あの日の夜、この曲のイントロが流れた時に一瞬小さく噴き出した充さんの横顔。曲が流れている最中に私の横に座って、「この曲の歌詞、めちゃくちゃエロいんだよ」としたり顔で私に声をかけた芳川さん。その芳川さんを「バカ、相手は英語の先生だぞ」と笑いながら軽く小突いた充さん。月並みな表現ですが、すべて昨日のことのようです。
Between the Sheets は夜の男女の行為(シーツとシーツの間で起こる出来事)を詠った曲です。ただでさえ英語詞の和訳は言葉の使い方や感覚の差異があって難しいのに、こんな直接的なテーマの歌詞の和訳は本当に難しくて、これを載せるのは止めようと最初は思いました。でも私にとってはMAYBEでの想い出が詰まった一曲ですし、この日に載せるのにこれ以外の曲は考えられなかったので、頑張ってみました。
ねえ、充さん。本当は明日も来年もその先も、MAYBEでお祝いしたかったな。我が家ではEllieの選曲でソウルをかけながらケーキでお祝いする予定だから、ちょこっと遊びに来てね。
The Isley Brothers - Between the Sheets
①
Hey girl ain't no mystery
ああ、夢じゃないんだね
At least as far as I can see
少なくとも僕にはそう見えてる
At least は「少なくとも」、as far as は「...する限り」
直訳は「少なくとも僕に見える限りでは」
I want to keep you here
君をここに留めておきたい
Want to +動詞原形 で「...したい」
Laying next to me
僕の隣に横たわらせて
layは他動詞で「横たえる/置く」、lieは自動詞で「横たわる」
他動詞layを使っているここでは、彼女が主体的に「横たわる」のではなく、
「僕」が主体的に彼女を「横たえる(置く)」イメージ
Sharing our love between the sheets
シーツの間で愛を確かめ合いたい
Oh baby I feel your love surrounding me
君の愛が僕を包みこむ
Oh baby making love between the sheets
シーツの間で愛を交わして
②
Oh girl let me hold you tight
強く抱きしめさせて
Let は、「...させる」という動詞(人やモノを後ろにつける)
ここではlet me... で「僕に...させる」を命令形にしているので、「僕に...させろ(させて)」
ちなみにLet’s は let us の省略形で「(その場の人間全員を対象に)私たちに...させて」→「一緒に...しましょう」
And you know I'll make you feel alright
ほら、僕が気持ちよくしてあげる
Oh baby girl just cling to me and let your mind be free
僕につかまって心を解き放って
ここではlet your mind... で「君の心に...させる」の命令形
「君の心に...させろ」=「君の心に自由にならせろ(直訳)」
While making love between the sheets
シーツの間で愛を交わしながら
③
Oh girl I love you all night long
一晩中愛してあげる
And I know you felt it coming on
君もこうなるって分かっていたよね
Oh darling just taste my love
可愛い人 僕の愛を味わって
Oh you taste so sweet
君はとっても甘い味がする
Sharing our love between the sheets
シーツの間で愛を確かめ合う
Oh baby I feel your love surrounding me
君の愛が僕を包み込む
Oh baby making love between the sheets
シーツの間で愛を交わして
④
Hey girl what's your fantasy
ねえ、君の願いは何?
I'll take you there to that ecstasy
僕がその絶頂につれて行ってあげる
Oh girl you blow my mind
君は僕の理性を吹き飛ばす
I'll always be your freak
僕はいつまでも君の虜
Let's make sweet love between the sheets
シーツの間で甘い愛を交わそう
Oh baby I feel your love surrounding me
君の愛が僕を包み込む
Oh baby making love between the sheets
シーツの間で愛を交わして
Oh baby I feel your love surrounding me
君の愛が僕を包み込む
Oh baby making love between the sheets
シーツの間で愛を交わして
I'm not gonna say anything, let's make love
言葉はいらない、愛を交わそう
In between the sheets
シーツの間で
➄
Oh I like the way you receive me
僕を受け止めるその姿が好き
Girl I love the way you release me
僕を解き放ってくれるそのすべてが愛しい
I'm coming coming on strong
激しく高まって行く
In between the sheets
シーツの間で
Oh I like the way you receive me
僕を受け止めるその姿が好き
Girl I love the way you release me
僕を解き放ってくれるそのすべてが愛しい
I'm coming coming on strong
激しく高まって行く
In between the sheets
シーツの間で
⑥
You got me moaning
君のせいで声が漏れてしまう
Girl You got me groaning
うなるような声が
I'm coming coming on strong
激しく高まって行く
In between the sheets
シーツの間で
Let's get all the way down
行けるところまで行こう
You're the only one
君は僕のただ一人の特別な人
I'm coming coming coming baby coming on strong
激しく高まって行く
In between the sheets
シーツの間で
今回は歌詞の所々に文法解説を入れてみました。いわゆる「スクールグラマー(学校で習う文法)」とは少し違っていても、文法を意識して歌詞を読み解くとより深く曲の世界を理解することができます。
特にこの曲は文法の使い方が巧妙で、それによって主人公の心情や状況の変化が表現されているので、最後にその解説もしたいと思います。曲の流れが大きく変わる箇所に①から⑥の番号を振りました。それぞれのポーションで特徴的な文法・語法を順番に見て行きましょう。
① want to ... (...したい)
最初のポーションでは I want to keep you here (君をここに留めておきたい)という歌詞にある通り、主人公の「○○したい」という願望が表されています。この段階では主人公が頭の中でこれまでのことやこれから起こることを想像している状態です。
② let me ... (...させて)/ While ...
Let me hold you tight (君を強く抱きしめさせて)とあるように、相手に触れるのに多少の躊躇がある状態です。またI’ll make you feel alright (僕が気持ちよくしてあげる)は will を使った未来を表す表現で、これから起こることを語っています。
更に最後の一行に while がついて While making love... 「愛を交わしながら(交わす間)」となっていることで、「これから始まる行為の間中ずっとこうしていよう」という表現になっています。
③ love you ... (...する/現在形の肯定文)
I love you all night long (一晩中君を愛す)は、シンプルな現在形の肯定文で、主人公が今この時から始める行為を宣言しています。そして taste my world(僕の世界を味わって)、 you taste so sweet(君は甘い味がする)、このどちらも今この場で起こっていることを表現していて、主人公が積極性をもって行動し、2人が肌を重ね合わせて行く動きが読み取れます。
④ I’ll ... (これからのこと)/ Let’s (一緒に)
冒頭のwhat’s your fantasy?(君の願いは何?)と、それに続く I’ll take you to that ecstasy(僕がその絶頂に連れて行ってあげる)は2人の間にコミュニケーションが生まれていることを表現しています。相手の願いを聞いて、それをこれから叶えてあげるという意思表示です。また「その願いの頂き」と文字通りの「(性的な)絶頂」をかけている表現でもあります。
最後の一行では、 let’s が使われていて、この行為を「一緒に」作って行くという2人の一体感を感じさせる表現です。
➄ I like the way ... / coming... (目の前で起きていることの描写)
このポーションで2行続けて出てくる I like the way ... (君の○○の仕方が好き)という表現、そして I’m coming, coming ... (高まって行く)の表現、これはどちらも目の前で起きていることの描写と率直な感想で、性的なボルテージが上がり余裕を失っていく様子が表現されています。
⑥ You got me ... (君のせいで)
最初の2行に出てくるこの表現は、主導権が自分ではなく相手にある状態で moaning / groaning 「唸り声が出てしまう」という意味です。「参った、降参」という感じです。ここではこの語法によって、2人の行為が最高潮に達して完全に余裕が無くなっている状態を表現しています。
以上、Ellieの文法的歌詞解釈でした。