Risin' to the top / Keni Burke

ライジン・トゥ・ザ・トップ / ケニ・バーク


 こんにちは、Ellieです。2020年1月9日。札幌のソウルバーMAYBEの充さんが亡くなって今日で4ヵ月。本来であれば新年のご挨拶から始めたいところですが、充さんのことを考えていると気分は完全に喪中でどう頑張ってもおめでたい気持ちにはなれないので、控えたいと思います。

 

 いつだったかMAYBEの2階で、充さんの愛弟子の芳川さんがレコードをかけてくれていた時に、私の隣に座った充さんとこんなやり取りがありました。

 

充さん「えりかちゃん、”rising on the top”ってどういう意味?」

 

Ellie「”rising TO the top”じゃなくてですか?」

 

充さん「うん、ONだ。」

 

Ellie「(絶対 TO だと思うけど…)頂点を目指す、ですかね。歌詞ですか?」

 

充さん「頂点かぁ。いや、曲のタイトルだよ。良い曲なんだ。」

 

 この日は芳川さんがブースに入るまで充さんがレコードを回していましたが、この会話の後充さんがブースに入ることはありませんでした。とても楽しい夜の中で、充さんが満足そうに笑って「良い曲」と言ったこの曲を聴きそびれてしまったのが唯一心残りでした。

 

 朝方までMAYBEで過ごした翌日、まずは充さんの言った通り"rising on the top"で検索してみると、出てきたのはKeni Burke(ケニ・バーク)の"Risin' to the top(ライジン・トゥ・ザ・トップ)"でした。私が充さんとのやり取りで”TO”ではないかと聞き返したのは、文法の並びとしてはそれが正解だったからです。実際その通りでしたが、もちろんその間違いを指摘するなんて野暮なことはしていません。充さんが充さんのリズムで覚えた英語なら、それはそれでいいじゃないかと思っていたのです。

 

 一年の最初の曲としてこの曲を選んだのは、この曲が人々にエールを送る曲だと感じていたからです。私にとっても大きな節目となるこの年を始めるのに最適な曲だと思いました。

 

 改めて何度もこの曲を聴き、歌詞の和訳をしているうちに、「この曲はMAYBEの曲だ」と感じるようになりました。多くの人が心安らげる場所を作り、時に笑顔で時に毒気を含みながらみんなを迎え、決して押しつけることなく「俺も頑張るからお前も頑張れ」とエールを送り続けてくれた充さんとMAYBEを思い出させてくれる、温かい曲です。

 

 MAYBEと充さんを愛した人たち、そしてこのサイトを訪れてくれた皆様にとって2020年が良い年となることを願って、この曲を。

 

 ねえ、充さん。ソウルを通じてたくさんの愛とメッセージを残してくれてありがとう。想い出の曲と向き合うたびに、きっとまだまだ新しい発見があるんだね。2020年もよろしくね。

 

 

Risin' to the top / Keni Burke


 

I know we're doing everything that we want to 

やりたいことはすべてやってる

Meanwhile, are we losing?

それなのに負けてるのか?

Because we won't let go

こだわりがあるからだ

And yet we go 

だから進む

 

Let's start thinking what we're doing

自分たちが何をしているのか考え始めよう

Don't let nothing change your mind

何があっても意思を曲げるな

Let's start heading homeward bound

在るべき場所へ向かって歩き始めよう

Get off the ground 

地面を離れて

Stop losing, yeah losing

負けることをやめて

 

Keep risin' to the top

頂点を目指し続けろ

(Give it all you got)

全部出しきれ

You gotta wake up your body... and move it around

体を起こして動かなきゃ始まらない

Wake up your body... and move it around

体を起こして動き出せ

 

Keep on believing all the dreams inside of you

自分の中にあるすべての夢を信じ続けろ

And don't stop achieving yeah

目指すことをやめるな

Let some love shine on through

いつも愛を輝かせて

And don't fight the feeling

気持ちに抗うな

Keep on dealing

上手くやっていこう

Everybody, keep on moving

みんな、進み続けろ

'Cause I know we can get it over, so baby

必ず乗り越えられるから

 

(Give it all you got)

全部出しきれ

Let’s keep risin’ to the top

頂点を目指し続けよう

(Give it all you got)

全部出しきれ

I won’t let nobody stop us

誰にも俺たちの邪魔はさせない

(Give it all you got)

全部出しきれ

Just keep trying, yeah

トライし続けろ

 

You gotta wake up your body... and move it around

体を起こして動かなきゃ始まらない

Wake up your body... and move it around

体を起こして動き出せ

 

Big time illusions create a lot of confusion

大げさな幻想は多くの混乱を生む

But the time has finally come

でもようやく時は満ちた

Let's get it done

これを終わらせよう

Keep moving, yeah moving

進み続けろ

 

Let's keep rising to the top

頂点を目指し続けよう

And don't let nobody stop us

誰にも俺たちの邪魔はさせない

Just keep trying, yeah

トライし続けろ

Keep on giving to each other

お互いに与え続けて

(Give it all you got)

全部出し切れ

Spread some love a little farther

愛をもう少し遠くまで広げて

(Give it all you got)

全部出しきれ

Keep on giving all you got

全部出し続けろ

(Give it all you got) 

全部出しきれ

Said we're rising to the top

俺たちは頂点に向かってると言っただろ

We won't let nobody stop what we're doing, yeah

誰にも俺たちがやっていることの邪魔はさせない

(Give it all you got)

全部出しきれ

Keep moving your body

体を動かし続けろ

(Give it all you got)

全部出しきれ

The feeling's getting stronger

この気持ちはどんどん強くなる

(Give it all you got)

全部出しきれ

 

What we're doing

俺たちのしていること

(Give it all you got)

全部出しきれ

Just keep moving your body

体を動かし続けろ

(Give it all you got)

全部出しきれ

The feeling's getting stronger

この気持ちはどんどん強くなる

(Give it all you)

全部出しきれ

 

 

 

Ellie のワンポイント文法解説


Don't let nothing change your mind

何があっても意思を曲げるな

 

We won't (= will not) let nobody stop what we're doing, yeah

誰にも俺たちがやっていることの邪魔はさせない

 

 この2つのラインは、否定のnotとnothing/nobodyが使われている「二重否定」という構造になっていて、厳密に言えば文法的には不正確です。文法的に正しい文章にすると、次のようになります。

 

Don’t let anything change your mind

 

We will not let anybody stop what we’re doing

 

 しかしながら英語ネイティブの間では、二重否定は(不正確なのは承知の上で)「否定の強調」として使われることがよくあります。この場合はどちらも、「絶対に意思を曲げるな」「絶対に誰にも邪魔させない」という強い想いを表現するために使われていて、学校のテストで書いたらバツですが、正解不正解だけでは説明できない世界と人の想いを表現する上では◎の用法なのです。

 

 

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