素顔のままで / バリー・ホワイト
こんにちは、Ellieです。2020年12月9日。札幌のソウルバーMAYBEの充さんが亡くなってから1年と3ヶ月。15回目の月命日となりました。
明日12月10日は私たち夫婦の結婚記念日です。昨年はMAYBEで結婚記念パーティーをやった時に芳川さんがかけてくれた Between the Sheets(ビトゥイーン・ザ・シーツ) / The Isley Brothers(アイズレー・ブラザーズ) を載せました。今年 Just The Way You Are です。
ソウルのスローナンバーは特に情熱的な曲が多く、結婚記念日にピッタリなスイートばかりなので選択肢が多くて悩みました。そこで曲を選ぶにあたってひとつ条件をつけてみました。「今年もMAYBEでお祝いができるなら、どんな曲を聴きたい?」です。
想像しました。雪の積もった小道の奥に見えるMAYBEの行灯。店内に入ると冷たい顔が暖かい空気で包まれて、ファンヒーターから石油の匂いがする。寒がりな充さんがいつも通り私たちを出迎えてくれて、「指定席」のカウンター右奥に案内してくれる。主人と充さんと3人で飲んでいるところに、充さんの幼馴染のHさんや芳川さんが合流して、夜も更けたところで2階に移動して、芳川さんがレコードを回し始める...
「芳川はいつもかける曲が同じだ」と充さんはいじっていたけれど、それはつまり何度も繰り返し聞いた想い出深い曲が多いということで。だからきっと今回も集まったらかけてくれる、芳川さんのお気に入りの曲。私も大好きになった曲。記憶の中から聴こえてきたのは、バリー・ホワイトのカバーバージョンの Just The Way You Are(素顔のままで) でした。(オリジナルはビリー・ジョエル)
アイズレー・ブラザーズの Between the Sheets, ダイアナ・ロスバージョンの Ain’t No Mountain High Enough, そして バリー・ホワイトバージョンの Just The Way You Are ...どれも必ずと言っていいほど芳川さんがかけていた曲でした。私のMAYBEの想い出の曲たちです。
ねえ、充さん。これからどんなに時間が経ってもどんな出会いがあっても、MAYBEでお祝いがしたい気持ちは消えないと思う。私にとっても主人にとっても、やっぱり特別な場所だった。夢の中でもいいから、お祝いに一曲かけに来てね。
Barry White Ver.
Billy Joel (Original)
Just The Way You Are
I never take anything for granted
僕はどんなものも当たり前だなんて思わない
Only a fool maybe takes things for granted
愚か者だけが物事を当たり前だと思うのかも知れない
“take 名詞 for granted”で
「○○(名詞)を当たり前に思う、○○のありがたみを忘れる」です。
“grant”という単語には動詞としては「叶えてやる、与える」という意味があり、
名詞としては「(国からの)補助金、助成金」という意味があります。
「国から与えられるもの=当たり前にもらえるもの」というイメージ。
Just because it's here today
今日ここにあるからと言っても
It can be gone tomorrow
明日にはなくなるかもしれない
And that's one thing
ただひとつだけ
that you never in your life ever have to worry about me
君が人生の中で何があっても心配しなくていいのは
if I'll ever change towards you
僕が君に対して変わってしまうこと
直訳は「僕が君に対して少しでも(ever)変わってしまうかもしれない(if)ということ」
Because baby I love you
だって僕は君を愛してるから
Yeah I love you just the way... You are...
ありのままの君を愛してる
Don't go changing, trying to please me
変わらないで、僕を喜ばせようと頑張らないで
You never let me down before
君が僕をがっかりさせたことなんか一度もないよ
“let 人 down”で「○○(人)をがっかりさせる、失望させる、裏切る」
I don't imagine (that) you're too familiar
想像もできないよ 君が当たり前になり
And I don't see you anymore
君のことが分からなくなることなんて
“see”の代表的な意味「見る」「分かる」「会う」です。
それぞれ異なる意味に見えますが、
「分かる」も「会う」も「見る」とイメージを共有しています。
「分かる」はその物事をよく観察して(見て)その本質を理解する(見る)ですし、
「会う」は実際に相手と会って相手の姿を「見る」です。
このため”see”と一言で言っても複数の意味で使われる場合もあり、
この歌詞の場合も「君のことが分からない」と
「君(の気持ち)が見えない」の両方の意味でとらえることができます。
このようにひとつの単語で複数の意味がある場合には、
それぞれの意味の共通点を見つけて覚えると効果的です。
カッコで補足した関係詞thatは省略されていますが、
この省略に気づけるかどうかで訳の流れが変わります。
関係詞thatがあることでその先すべてが動詞”imagine”の対象になり、
“you’re too familiar and I don’t see you anymore”の全体が
「想像できない」となります。
“that”なしで”I don’t imagine” “you’re too familiar” “and I don’t see you anymore”
とそれぞれ独立した文でとらえると、
「想像しない」「君は見慣れ過ぎている」「そしてもう君が分からない」となり、
意味がつながらなくなってしまいます。
英語の曲の歌詞は特に省略が多いため、
歌詞の意味を正しく捉えるためには省略された単語に気づけるかどうかが大切。
そのためにも文法の知識が大切なのです。
I would not leave you in times of trouble
大変な時に君から離れたりしない
We never could have come this far
(そんなことをしたら)僕たちきっとこんな風になれなかったよね
ここも「そんなことをしたら」の部分が省略されています。
補足するなら”If I did,”という感じ。
このラインの直訳は「僕たちはここまで(こんなに遠くまで)来られなかった」です。
“far”は「遠く」と距離を表す単語ですが、
この場合は物理的な距離ではなく二人が築いてきた関係の深さを表しています。
I took the good times, I'll take the bad times
良い時を受け入れたから、悪い時も受け入れよう
I'll take you just the way you are
ありのままの君を受け入れるよ
Don't go trying some new fashion
新しいファッションを試したりしないで
Don't change the color of your hair
髪の色を変えたりしないで
You always have my unspoken passion
言葉にはしないけど僕はいつでも君にぞっこんなんだ
直訳は「君は常に僕の言葉にしない情熱を持っている」です。
「自分の情熱」を相手が「持っている」と表現することで、
その気持ちがその相手だけに注がれているものだということを表しています。
とても英語的な表現です。
Although I might not seem to care
気にかけていないように見えるかもしれないけどね
I don't want clever conversation
気の利いた会話なんて欲しくない
I don't want to work that hard
すごく頑張ったりもしたくない
I just want some someone to talk to
ただ話し相手が欲しいだけなんだ
I want you just the way you are
ありのままの君が欲しいのさ
I need to know that you will always be
君はこれからもずっと
The same old someone that I knew
僕が昔から知っている君だよね
What will it take till you believe in me
どうしたら君は僕を信じてくれるんだろう
(In) the way that I believe in you
僕が君を信じているように
ここにも”in”が省略されていて、
“What will it take till you believe in me in the way I believe in you?”
となります。
“in the way...”というのは「○○の方法で、やり方で」
「僕が君を信じるやり方で」となります。
“take”は「取る」が主な意味。
例えば「これには5分かかります」と言う時にも”take”を使い、
“It takes five minutes.”と言います。
対象となる作業”it(それ)”が主語となり、
「それ」が5分という時間を(人から)「取る」というイメージです。
“What will it take...?”のラインは、
「それ(この場合は《君が僕を信じるまでに》)は(僕から)何を取るのか」
「君が僕を信じるまでには何が必要なのか」
「どうしたら君は僕を信じてくれるのか」
という感じになります。
I said I love you and that's forever
僕は君を愛してると言った それは永遠
And this I promise from my heart
それは心から約束するよ
I could not love you any better
これ以上ないほど君を愛してる
この曲の歌詞に文法解説を付けるならここは外せません。
タイトルと同じくらい甘く英語ならではのやり方で愛を表現している一節です。
“I could not love you any better”は直訳すると、
「これ以上のやり方で君を愛せない」です。
その上が無いから「これ以上ないほど君を愛している」となります。
その上を否定することで最上を表現するという手法で、
文法用語では最上級(best)ではなく比較級(better)を使った最上級表現と呼ばれるものです。
ストレートに最上級を使うよりもあえて比較級を使うことで、
他に比較できるものがないという最上級表現になる素敵な手法です。
I love you just the way you are
ありのままの君を愛してる