Harry Hippie / Bobby Womack

ハリー・ヒッピー / ボビー・ウーマック


 こんにちは、Ellieです。2020年9月9日。今日は札幌のソウルバーMAYBEの充さんの一周忌。私がこのサイトを始めてから、もうすぐ1年です。

 

 昨年(2019年)の9月9日の深夜から早朝にかけて、大きな台風(15号)が関東に接近&上陸しました。それまでは雷でも暴風雨でも眠れないことなどなかったのに、あの日は一晩中ひどい頭痛が続き、ほぼ一睡もできずに朝を迎えました。そしてその朝、充さんの幼馴染で私たち夫婦の友人から、充さんが亡くなったと報せを受けました。

 

 「ああ、虫の知らせってこういうものなのか...」とぼんやりと考えつつ、全く実感のないまま飛行機と宿の手配をし、主人と二人札幌へ向かいました。

 

 斎場に着くと、祭壇には穏やかで素敵な笑顔の充さんの遺影が飾られていました。その顔を見た途端に実感よりも先に喪失の痛みが胸を刺し、そこからはお通夜、告別式、収骨まで、人目を気にする余裕もなくただただ泣き通していました。主人には「あんまり泣くと充の隠し子かとあらぬ誤解を招くよ」と苦笑されたほどです。

 

 私があまりに盛大に泣くので周囲にいた人たちが泣くになけない雰囲気を作ってしまっていたかなと、今振り返って思います。あるいはみんなの分も私が泣いていたのかも。

 

 充さんの葬儀で強烈に印象に残っているのはタバコの煙です。私の主人を含め充さんの周りには喫煙者がとにかく多かったこともあり、斎場の喫煙所は常に満杯の状態でした。私自身は喫煙はしないので普段はタバコは避けていますが、この日は何となくその大量のタバコの煙が充さんへのお線香代わりのように感じられて、主人にくっついて約2日間タバコの煙に包まれていました。

 

 充さんの葬儀の光景がぼやけた印象なのは、大量の涙とタバコの煙のせいなのでしょう。

 

 一周忌の今日紹介する曲は、 Bobby Womack(ボビー・ウーマック) の Harry Hippie(ハリー・ヒッピー) です。実は私はこの曲を知りませんでした。この曲は、充さんのお通夜の日、棺の上に置かれていたレコードの曲です。誰が置いて行ったのかもどんな曲なのかも分かりませんでしたが、とても気になったのでメモをしてあの夜ホテルの部屋でネット検索して聴きました。あまりに悲しく、あまりにあの日にぴったりな、大切な人との別れの曲でした。

 

 充さんがいなくなったあの日のことを改めて思い出すとまだ息が詰まるほど苦しくて、そして今日この日はやはり私にとって特別な日なので、今回は文法解説は控え目にしておきます。でもひとつひとつの言葉に心を込めて訳詞を付けました。

 

 今日札幌で、またそれぞれの場所で、同じように充さんを想う人たちに、そして大切な人との別れの痛みを知る人たちに、あの日レコードを棺の上に置いた方の想いが届きますように。そして私とこの曲をめぐり合わせてくれたことに感謝を。

 

 ねえ、充さん。1年経ってもまだ涙が出るよ。最近大切な人を無くしたアメリカの友達が言ってたの。「大切な人の死は乗り越えられるものじゃない。その喪失の痛みごとあなたの人生の一部になる」って。やっぱり充さんは私にとっても主人にとっても、これからもずっと大切な人だよ。

 

 

 

Harry Hippie / Bobbie Womack


Everybody claims that they want the best things outta (out of) life

最高の人生を送りたいと誰もが言う

Ha, but not everyone,

not everyone wanna go through the toils and strifes

でもみんながみんな苦労や争いをしたくはないのさ

 

Like this particular fellah,

walks around all day long singin' this song

例えばこいつ、この歌を歌いながら一日中歩き回る

Sha na lah dah dah lah dah dah dah dah

 

Harry Hippie, lies asleep in the shade

ハリー・ヒッピーは日陰で眠る

Life don't bug him cause he thinks he's got it made

奴にとって人生は問題じゃない、満足しているからさ

 

ここのラインはすごく充さんらしい感じで好き。 

私も常に自分の人生に誇りを持って生きようと思わせてくれます。

今回はここだけ、解説します。

 

“Life don’t bug him”

 

“Life”は三人称単数の主語なのでスクールグラマー的正解は

“Life doesn’t bug him”です。

 

間違いであることを承知であえて使っているものなので

間違えて覚えないように注意です。

 

ここは直訳すると「人生は彼を悩ませない」です。

 

 

“he thinks he’s (he has) got it made”

 

“made”の原形”make”は「作る」という意味がメジャーですが

“make it”で「やり遂げる・成功する」という意味があります。

 

またこの”got (原形get)”は使役動詞で

”get + 名詞 + 過去分詞”=「〇〇(名詞)を●●(過去分詞)させる」

という風に使われます

 

ここでは”he has(現在完了形)”を受けて”get”が過去分詞の”got”となり

使役動詞の”got”を受けて”got it(名詞) made(過去分詞)”

 

この意味は「彼はそれをやり遂げた」となり

全体の直訳は「彼はそれ(人生)をやり遂げたと思っている」となります。

  

 

He never worry about nothin' in particular

奴はいつだって何に対しても悩んだりしない

Oh, he might even sell free press on Sunset

日没とともに報道の自由だって売るかもしれない奴だ

 

I'd like to help a man when he's down

俺は困っている奴がいたら助けたい

But I can't help him much

でもこいつはどうにも助けられない

When he's sleepin' on the ground

地面に横たわって眠っている奴はさ

 

He's like a bottle in water

水に浮かぶ瓶みたいな奴だ

Harry just floats through life

ハリーは人生をただ漂うだけ

Walks around all day long singin' this song

この歌を歌いながら一日中歩き回る

Whoa, whoa, whoa, oh yeah

 

Mary Hippie, she's Harry's lady

メアリー・ヒッピーはハリーの女

Panhandles pennies just to feed Harry's baby

ハリーの子供を食わせるために物乞いをする

She can lie down a story so incredible

話がすごく上手いんだ

Man, you wanna help her take the food home and put it on the table

なあ、彼女が食べ物を持って帰ってテーブルにのせられるように

お前が助けたいよな

 

I'd like to help a man when he's down

俺は困っている奴がいたら助けたい

But I can't help ya, Harry

でもお前は助けられないよ、ハリー

If you wanna sleep on the ground

地面に横たわって寝ていたいならさ

Sorry Harry, you too much weigh to carry around

ごめんよハリー、重すぎて運べないよ

 

But he still walks around all day long singin' this song

それでも奴はこの歌を歌いながら一日中歩き回る

Sha dah dah dah sha nah nah nah nah nah

Nah sha lah lah lah lah dah dah dah

 

Street child, street child

ストリート・チャイルド

Tell me where will you be goin'

どこに行くのか教えてくれよ

When old man winter gets his horn and starts blowin'

冬将軍がラッパを吹き始める頃に

Will you hang around LA

お前はロスをぶらつくのか

Or hitch a ride on a freeway

それともフリーウェイでヒッチハイクをするのか

Meet an old familiar face in a new place

新しい場所で古く懐かしい顔と再会するのか

 

I'd like to help a man when he's down

俺は困っている奴がいたら助けたい

But how can I help him if he's somewhere outta town

でもこの街からいなくなったらどう助けたらいいんだ

Sorry Harry, think I'm gonna put you down

ごめんよハリー、お前を下ろさなきゃならないみたいだ

 

Sha dah dah dah sha dah dah dah dah

Sha lah lah lah lah dah dah dah

Everybody help me sing this song, oh yeah

どうかみんなこの歌を一緒に歌って欲しい

 

 

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